『ストックフォト』と『不労所得』
前々回ストックフォトについて書きましたが、ちょっとあまりにも具体的な話を書かずに終わらせてしまったな、と。
わたしゃ決して高収入ではないものの、日ごろから「真っ昼間からワイン飲んで仕事中」とか「ぷらぷら撮ってきてそれをアップロードするだけ」とか「寝てても勝手に売れて金になる」とか言っているせいか、『ストックフォトは不労所得。楽で美味しい仕事』と思われている節があるようで。
そりゃ「自分もやってみたい」と言われるでしょうよ。楽して稼ぐ、これが現代の流行りですものね。
では今回は・・・
自由に撮ってきて自由に作業
ストックフォトでメシを喰う方法
…を特別にお教えしようかと。
もちろん怪しい情報商材の斡旋ではありませんよ。壺も買わなくて大丈夫。
私がやっていることを無料で教えるだけ。同じことをすれば同等の収入が入ってくる美味しい話です。
その月によって変わりますが、私は概ね1ヵ月のうち10日前後を素材撮影のための放浪に出ています。
放浪期間中は朝の8時頃に安ビジネスホテルを出発し、夜の9時頃まで撮影。早朝や星の撮影があれば早出や延長あり。
それで1日に300~500枚を撮影してきます。
もちろん最近の若い人がやるような、同じ場所&同じ構図でバシャバシャと無駄な連写をするのではなく、しっかり1枚1枚を練って撮影ですよ。『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』みたいな撮り方ではいつまでたっても下手クソのまま。素材としても意味が無いなので。
撮影に出ていない期間は自宅で朝の9時から夜の8時頃まで、撮ってきた写真のRAW現像と仕上げ。
ストックフォトは自己完結型の仕事なのでノルマはありませんが、私は朝にその日の枚数を決め、足りない場合は撮影ボックスを組み立てて身の回りのものをブツ撮り。それで日に平均100枚程度を審査に提出しています。
これだけです。
嫌な上司に怒られることもなければ、服装や髪形を規制されることもない。体調が悪ければ1日寝てても良いし(そのぶんを後から取り返せるならば)、昼間から酒を飲んでも良いし(それで作業が捗るならば)、素材撮りと称してキャバクラに行ってもかまいません(かけた経費に見合った素材が撮れるならば)。わたしゃ飲んでる時に他人に話しかけられるの大嫌いなので行きませんけど。
クリエイターによって投稿枚数や収入には大きく差があるでしょうが、
①月に2000枚程度、販売素材として適切な写真を撮影してくる。
(ルールとマナーとモラルに配慮すれば撮り方は自由)
②それを売れるレベルの仕上げで現像してアップロードする。
(酒飲みながらだろうと歌いながらだろうと自由)
…を続けることができれば、中小企業の初任給程度の収入は得られるでしょう。さらに頑張れば頑張ったぶんだけ伸びます。
全て自分で考え、決め、好きなように働けます。他人から好かれる必要もなければ、誰かに媚びを売る必要もありません。自分自身の努力と実力とアイデアで全て決まる世界です。
なお私はその合間にクライアント有りの撮影業務、副業としての物書き、写真家としての作品作りもしていますが、ストックフォトの収入だけで満足ならば余計なことをやる必要はありません。
冒頭でも書きましたが、ストックフォトというものの性質上、『素材さえアップロードすれば、あとは勝手に金が入ってくる』と、まるで不労所得のように考えている人間は多くいますし、ストックフォトの運営会社がそういった謳い文句でクリエイターを募集していることがあります。
たしかに私も去年、入院と手術で2ヵ月ほど全く仕事ができませんでしたが、その間も写真は勝手に売れてほぼ変わらない収入を得る事ができました
しかしその状態を作り、維持するためにはかなりの労力を費やさねばならず、決して不労所得と呼べるものではないのです。
何度か書いていますが、私は全く畑違いの仕事からツテもコネもなく、ド素人のクセに単身独学で写真の世界に身を投じました。その当時の月収、いくらだと思います?…たったの300円ですよ?時給でなく月給ですよ?マトモな人間ならばコンビニでバイトしたほうがよほどマシです。
それでもこの世界で生きると決め、周囲の支えもあって続けることができ、今のレベルになるまで3年かかりました。
世の中には確実に『美味しい話』というものは転がっていますし、『楽して稼ぐ方法』も存在します。そんなものは無い、などと決めつけたことを言うつもりはありません。
しかし私が『美味しくて楽な仕事だ』と思っているこの仕事は、世間の人間が考えるような『美味しくて楽な仕事』ではないと思うのです。
ぶっちゃけた言い方をすれば…
マネできるもんならマネしてみろ
ってことですな。
ストックフォトは新たに素材を投入し続けなければ徐々に収入が落ちてきます。いわば足を着くことができない自転車。漕ぐのをやめれば緩やかに停止し、転んで無様な姿を晒すだけ。
つまり私は生きている限り撮り続け、現像を続け、アップロードを続けなければならないのです。これのどこが不労所得だってんだ。
・・・というわけで、自由に楽に金を得たいならばそういうのが得意な人に聞いて下さい、って話ですな。
わたしゃ無理よ。幼少の頃から努力と我慢で登ってきた人なので、コツコツ頑張る以外の金儲けは苦手なのよ。