『片目』と『両目』

とても感動した景色のはずなのに、撮影後の写真を見ると何か物足りない。

もしくは逆に、なんてことない被写体だったはずなのに撮影後の写真を見るとイイ感じ。

そう感じる要因は多々あるのですが、その1つとして『片目と両目の認識の差』があります。

一般的なカメラは”一眼”という呼び名の通り、レンズは1つ。それに対し人間が見る目は2つ。

2つの目で見ている時は距離感や奥行きも『目の前の印象』に影響しますが、カメラから吐き出される画はあくまで1つの目。平面でしかありません。

両目で見た時に「これは良い」と思った構図でも、片目で見てみると凡庸な風景だったり、「いまいち」と思った被写体が写真で見ると魅力的に感じるのは、これが原因であることが多いです。

『撮影者の目に映る風景』と『カメラに映る風景』は別モノであり、写真を見る人間の目に映るのは『カメラが見ている風景』なのです。

余談ですが、私は撮影のための放浪中は左目を閉じたままにしていることが多いです。

そうすることで両目で行動していては気付けないような魅力に気付けますし、両目で見ていたらつい撮ってしまう被写体のつまらなさに気付けるから。

スマホや背面モニタを使って撮影する場合は片目で被写体を見ることは少ないでしょうが、より高みを目指したいならばシャッターを切る前に一度片目で見てみることをお勧めします。それが写真として記録される画です。

・・・ただし、片目を閉じたまま動き回るのは危険なのでご注意を。

私は片目のまま移動することに慣れたつもりになって過信し、渓流の岩場で転倒して顔面骨折をしたことがあります。無意識にカメラをかばってしまったのが原因なので、写真撮りとしては名誉の負傷とも言えますが…。

ちなみにその後もそのまま2~3日撮影放浪を続け、結局病院にも行っていません。いいんですよ、痛みや後遺症が残ろうとも、1枚でも多く撮って成長することのほうが大事ですから。